2ヶ月目の浮気
水曜日の夜、
ワタシ、彼氏に呼びつけられました。
「話をつけたい」っていう、
たいそうシンプルなメールで。
コトの始まりからいうと、
土曜日、大阪から来た知人を、
ウチに泊めてあげたのね。
それを、彼氏は、浮気だと思い込み、
「もう誰も信じられない。もう連絡もしない。」
とかいう、
昔のジェットコースタードラマのタイトルめいたメールが、
一方的に送りつけられてきたのが、
日曜日の朝。
で、
それから、
ほんとうに連絡がなくって、
こちらからメールや電話をしても、
なしのつぶて☆
確かに、ワタシ、
いろいろ心配させる行動をしてきたし、
最近、ワタシたち、
会えば喧嘩ばかりだったけど、
それにしても、突発的過ぎない??
その、土曜日の子とは、
ほんとうに何もしてないしー。
誤 解 な ん だ っ て バ ッ ! !
でもさー、
数日間連絡が取れなくて、
「話をつけたい」とか言われたら、
なんていうの、
テレサテンでいうところの、
「別れの予感」
吉本ばななでいうところの、
「哀しい予感」
が、するじゃなーいー?
きっと、
「別れる」「別れない」の話になるだろうと予想されたので、
外の喫茶店とかじゃなく、
ウチで話し合いをしましょうってことになったワケよ。
だって、
混み合った喫茶店で、男2人が、
「もう耐えられない!!この浮気モノ!!」だとか、
「やっぱりお前が好きなんだ!!」だとか、
さらに、
楽しかった日々を思い出し、
手を取り合って涙を流したりしてたら、
イヤでしょ??
ワタシは嫌。
がぜん、キショイ。
で、落ち着いて話せるワタシの部屋で、
話し合いをすることになったの。
当日、
19時過ぎに来るっていうから、
録画していたドラマを見ながら、自宅待機。
もともと時間にルーズな子だし、
どうせ20時過ぎになるんだろうな、なんて思っていたら、
19時ちょい過ぎくらいに、
玄関のチャイムが鳴ったの。
やっだ、早いじゃん。
やっぱり、この子ホンキなんだわ。
何かしらの決意をしてきたのね!!
なんて、嫌な予感を抱きつつ、
ドアを開けてビックリ!!
ドアの前には、
なんと!!
隣の”鈴木さん”。
なんだか、買い物帰りっぽく、
手には、スーパーの袋をぶら下げた鈴木さん。
彼氏かと思って、緊張して損した。
「何かありました?」
とワタシが尋ねると、
「いや、ほんとにアナタが住んでるね。」
と、鈴木さん。
このババァ、
この忙しいときに、わざわざ確認しにきたの??
そういえば、ワタシ、
この間、
このアパートにはいろいろあるって言われて、
何があるんだろうって気になってたのね。
で、この機会にって思い、
思い切って訪ねてみたの。
そしたら、
「あのね、あなたの前に住んでた人が変質者で、
夜中に天井を歩いたり、おかしな人だったのよ。」
と、鈴木さん。
え?天井を歩く??
ウチ、天井を歩けるの??
てか、そもそも天井なんてあるの??
さらに、
「この間、あなたの部屋のチャイムを押しても誰も出ないから、
警察を呼んだのよ。2台も来ちゃってびっくりしたわ。」
「よかったわー。ちゃんと住んでたのね。」
「ほら、コレ。隣のよしみでアゲル。
気持ちだから、気にしないで。」
と、畳みかけるように言い放ち、
怪しげなジュースを置いていく鈴木さん。
いやだ!!!!
あの時のブザー音って、
パトカーのサイレンだったの??
ワタシ、よっぽど怪しまれてたのね。
でも、大丈夫。
天井を歩いたりなんか、しないから。
そんな、
チャーリーズエンジェルみたいなこと、できない。
それに、
”気持ちだから気にしないで”
って置いていったジュース。
近所のスーパーで98円で売ってたの、
ワタシ、知ってる。
だから、大丈夫。
気になんかしないよ、鈴木さん。
そんなこんなで、
時間は過ぎていたみたいで、
少しして、
神妙な面持ちの彼氏がやってきたの。
ワタシ、ほら、
鈴木さんの1件でテンション上がってたから、
会った瞬間、
鈴木さんの話題でもちきり。
彼氏も、過去に鈴木さんの話を聞いてたから、
一緒になって、
高めのテンションで、鈴木トーク。
「誰かが天井を歩くとか、鈴木さんもあったまオカシィよねー」
とか、
「なんてーの、女ひとり暮らしって、過剰に用心するんじゃない?」
とか、
「あ、ここ。天井に上がれるかも。」
とか、
やっだー、
ありえなーいー、
etc...。
ワタシたち、
当初の目的も忘れ、しばしご歓談。
で、
ひとしきり鈴木ネタで盛り上がったあと、
いよいよ例の、「話をつける」話題に。
なんか、もう、
別れるとか別れないとか、
彼氏もどうでもよくなったみたいで、
「次やったら別れるからね」
と、あっさり系のセリフで釘をさされ、
とりあえず、続ける方向に落ち着きました。
もし、
会わずに”電話で”話し合ったいたら…
もし、
ワタシが”鈴木さん”に会わなかったら…
恋愛って、
好きだけじゃやってけないね。
鈴木さんにちょこっと感謝しました。
ジュースは、恐ろしいほど不味かったけど、ネ。